【鍵善良房/京都】京都でしか味わえない至高のくずきりを。京の味の王者がここに。

『鍵善良房』 江戸の享保年間創業の老舗

と言われても、それがいつ頃なのかピンと来ないですよね。享保年間は、今から約300年前、1716年〜1736年になります。

あまりに昔のことなので資料がほとんど残っておらず、正確な創業年がわからないだなんて、いかにも老舗らしいエピソードではないでしょうか。

 

『鍵善良房』は、京都の祇園で京菓子を作り続けている老舗のお菓子屋さんです。

創業当時から作られている、高級な阿波和三盆を使った干菓子「菊寿糖」が昔からの名物ですが、現在の『鍵善』で絶大な支持を得ているのが、京都のお店でしか食べることのできない「くずきり」。

作家の水上勉さんなど、数多くの文化人を魅了し続けてきた『鍵善』のくずきりを、本記事ではご紹介したいと思います。

「京の王者の味」が、ここにはあります。

 

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「鍵善のくずきり」食べられるのは、四条本店と高台寺店だけ。

京都の人気店の多くが東京へ進出したり、京都へ留まるにしても京都駅前や中心部の百貨店へ出店したりする中で、『鍵善良房』さんは他所への出店を行っていません。

その理由は、「お店に来てもらい、鍵善の持つ歴史や美意識を感じて欲しいから」とのこと。

この老舗が持つ信念、覆ることは今後もないと思われるので、「鍵善のくずきり」を食べるのには京都へ足を運ぶ以外に手段はありません。

 

なお、現在『鍵善良房』が展開するお店は3店舗ありますが、そのうち『ZEN CAFE』ではくずきりがメニューにないのでご注意ください。

『鍵善良房』のお店

・四条本店:くずきり有り

・高台寺店:くずきり有り

・ZEN CAFE:くずきり無し(くずもちが有ります)

 

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穴場は高台寺店。空いていて静かな空間。

『鍵善良房』の四条本店は、四条通りに面した祇園の街中という絶好の立地にあるため、常に多くのお客さんで賑わっています。

大行列というほどではありませんが、大抵は数組待ちという状況です。

どうしても「歴史のある四条本店の雰囲気を味わいたい!」(とは言うものの、建物は1998年に改装されて新しくなっています)、
もしくは「四条本店限定の「わらび餅」も食べてみたい!」ということでなければ、ここから少し離れた場所にある「高台寺店」が、空いているのでおすすめです。

 

近くには、いかにも京都といった風情の「ねねの道」や「石塀小路」がありますので、散策ついでに寄るのがオススメの観光ルートです。

 

鍵善の高台寺店は、京都でも有数の雰囲気抜群な場所にあるため、そこが鍵善であることを示す看板や暖簾も極々控えめ。

うっかりしていると、お店の前を通り過ぎてしまうかも知れませんので、スマホのGoogleマップを活用するといいでしょう。
それほど難しい場所ではないので、Googleマップがなくても大きく迷うことはないかと思いますが。

 

2018年7月上旬の日曜日、15時過ぎに訪れましたが、先客は誰もいなくて貸切状態でした。

この後、退店するまでの間に2組の来客がありましたので、決してガラガラという程ではありませんでしたが、四条本店と比べれば明らかに空いています。

 

以前にも何度か高台寺店を使わせてもらいましたが、いずれも満席で順番待ちになるということはありませんでしたので、混雑することはあまりないと思われます。

京都では、行列が当たり前の有名甘味処・カフェが多い中で、京都で指折りの名店である『鍵善良房』に並ばず入れるという現状は、とても恵まれていると感じます。

 

席も選び放題でしたので、坪庭に近い場所に陣取りました。

空調が効いていて、外の暑さが嘘のようです。

 

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目当ては「くずきり」!キンと冷えた極上甘味

鍵善のお菓子はどれも美味しいので、好きなものを注文されれば宜しいかと思いますが、もし鍵善の「くずきり」を食べたことがないのであれば、取り敢えず「くずきり」を一度は食べて頂きたい。

 

こちらが、鍵善の高台寺店のメニューです。

  • くずきり(黒蜜・白蜜) 1,080円
  • おうす生菓子付 880円
  • おうす水ようかん付 880円
  • おうす 500円
  • グリーンティー 500円

「おうす」は抹茶です。甘いお菓子と「おうす」の組み合わせは鉄板ですから、もちろん美味しいです。

 

私は、そう頻繁に来られる訳ではないので、鍵善を訪れた際には「くずきり」の一択。
「くずきり」を食べるために鍵善へ行くので、当たり前ですが・・・。

さて「くずきり」を食べるとして、次に悩ましいは「黒蜜」と「白蜜」、どちらにすべきかという問題。
どちらでも好きなほう、その時なんとなく選んだほうで全然問題ないとは思いますが、初めての人にアドバイスするとしたら「黒蜜」ですかね。

黒蜜は、沖縄の波照間産の黒糖を原料にしていて、一本芯が通った味なのにくどさがない、とても上品な味です。

「白蜜」のあっさりしたところもいいのですが、「くずきり」自体が単調な味なので、少し主張の強い「黒蜜」の方が飽きずに食べられます。

 

「くずきり」の入った器がやって参りました。

手前が私の注文した「白蜜」で、奥が友人の注文した「黒蜜」です。一応申し上げておきますと、蜜の味は違えど器は全く同じものです。

 

器は2段重ねになっていて、上段には「蜜」が、下段には「くずきり」が入っています。

氷水にさらされた「くずきり」は、綺麗な半透明。

鍵善の「くずきり」は、吉野・大宇陀産の高級な本葛と水だけで作られたシンプルなもの。それ以外の余計な混ぜ物は一切使われていません。

世に出回っているくずきりのほとんどは、混ぜ物だらけの「なんちゃってくずきり」ですので、鍵善の「本物のくずきり」とは味が全く違います。

 

製法にも一切の妥協はなく、注文が入ってから葛粉と水を合わせるので、ご覧のような半透明の美しい「くずきり」が出来るんですね。

氷水で冷やされているので、つるんとした感触でありながらコシもしっかりしています。

「まるで麺(特にきしめんと言われることが多いです)を食べているようだ」と表現されることが多いのですが、実際その通りで、味だけでなくツルツルとした食感を楽しみながら食べるのが、最高に美味しい食べ方だと思います。

 

特に夏場は、器の中の氷が立てる「カランカラン」という透明感のある涼しげな音が、より一層「くずきり」の良さを引き立てます。

 

最初は、何もつけずに食べてみると、高級な吉野・大宇陀産の本葛で作られた「くずきり」のピュアで繊細な甘みを堪能できます。

ただ、鍵善のくずきりは意外とボリュームがあるので、食べ進むにつれて飽きがくることも。2口目以降は「蜜」をつけて戴いた方がいいですね。

私は、この量が多過ぎず少な過ぎずの「適量」だと感じているのですが、人によっては多いと感じることもあるようです。

 

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作家・水上勉さんのエッセイに心打たれよ!

私のような一般人はもちろんのこと、数多くの著名人にも愛され続けている『鍵善良房』。
鍵善を題材にした作品がいくつも残され、今尚、誕生している事からも、鍵善がいかに多くの人から支持を得ているのかが窺い知れます。

その中でも、作家・水上勉さんが書かれたエッセイ、その名もズバリ「くずきり」が鍵善ファンの心を揺さぶる最高傑作なので、勝手ながらここに記載させて頂きます。
「ソシアルな日々」さんに掲載されていたものを、拝借させて頂きました。)

ちょっと前までは、鍵善の卓上には必ずこのエッセイが置かれていて、毎度くずきりが出てくるまでの時間にエッセイを読んで気持ちを昂ぶらせる。
これが、正しい鍵善くずきりファンの作法だったのですが、今はなくなってしまったようで残念でなりません。

 

くずきり

小さい頃、若狭(わかさ)の野山でくずの花をみた。紫色のふさになって咲くこの花は、秋末にはサヤ豆のような果になっていた。京の「鍵善」 にきてくずきりをたべていると、故郷の土の香がするのは私だけであろうか。

聞けば、「鍵善」では大和のくずをつかっているそうな。しかし、むかしのくずは若狭境の奥山産のがあったともいう。くずは根のつよい植物で、アメリカなどは日本から種子を輸入して、土くずれを防ぐ用に供し、何万坪ものくずの花の咲く山があるそうだ。花はみごとでも、根がおいしくたべられるくずの風雅はアメリカ人のものではない。

これはなんといっても日本の味だ。酒好きの私が、「鍵善」の二階へあがって、あの独特の器に入れてさし出されるくずきりに、舌つづみを打つのは宿酔(ふつかよい)の朝である。蜜の甘さと、くずの淡白さが、舌の上で冷たくまぶれて、つるりとのどへ入りこむ。

あの味は、菰(こも)かむりから出る地酒の特級と同趣で、じつにうまい。うろこのようにかさなって咲く紫の花びらが、たべ終わったのこりの、氷水の面に、うつっているような気がする。私はいつも、二杯目をおかわりして笑われる。欅(けやき)づくりの店のたたずまいも、京の「鍵善」の風格にちがいないが、器や卓がいくらこられていても、味がまずければ永続するものではない。日本の山野の土を守った根が、おいしく加工されているからである。文明は山野をいくらけずりとっても、自然の美味はのこすものだ。

くずきりは京の味の王者だと思う。

水上 勉

 

最高です。何度読んでも心を揺さぶられます。

ちなみに、文中に「鍵善の二階へあがって」という記載がありますが、これはリニューアル前の四条本店では喫茶室が二階にあったためで、現在の四条本店に二階はありません。

今は高台寺店をオススメしている私ですが、二階へ上がる階段がとんでもなく急だった以前の四条本店の雰囲気、大好きでした。

 

店舗概要、アクセスなど

高台寺店

項目内容
店名鍵善良房 高台寺店
営業時間10:00 〜 18:00(L.O.17:45 但し状況による)
定休日水曜日(祝祭日の場合は翌日)
住所京都府京都市東山区下河原町471
TEL075-525-0011
クレカ利用可(詳細は要確認)
タバコ禁煙
席数テーブル26席
URL(鍵善)http://www.kagizen.co.jp/store/

 

四条本店

項目内容
店名鍵善良房 四条本店
営業時間9:30 〜 18:00(L.O.17:45 但し状況による)
定休日月曜日(祝祭日の場合は翌日)
住所京都府京都市東山区祇園町北側264番地
TEL075-561-1818
クレカ利用可(詳細は要確認)
タバコ禁煙
席数60席
URL(鍵善)http://www.kagizen.co.jp/store/

 

 

3 Comments

かわうそ女史

アントニオ猪木さんも好物だと、なにかの鴇に、おっしゃってました。私も好きですが、こつめさんの足元には及びません。ところで、お写真に写ってる人のTシャツ、気合いが入ってますね。

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