ゲイバーと散髪とわたし(後編)

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※前編をお読みでない場合は、まずは前編をどうぞ。

・ゲイバーと散髪とわたし(前編):http://kotsumekawauso.com/gay-bar-20160302/

 

さて、何だかんだ違和感を感じるなどと言いながらも楽しく過ごしたゲイバーで、一番困ったのは、いつ「自分はゲイではない」とカミングアウトするかだ。

通常の世界ではカミングアウトするというと、それは即ちゲイであることを宣言することになるが、ここでの自分はマイノリティ側だ。「ゲイではない」と宣言する行為がカミングアウトになるのである。

そもそも「ゲイではない」という言い方がスマートではない。では、どのように言えばいいのか?しかし、それが分からない。
話の流れから、いよいよこれはカミングアウトせねばならぬとなった時に、まごついている私を見兼ねた友人が一言「あ、彼ね、ノンケだから」。

なんだ、「ノンケ」という言葉なら知っている。しかし、その言葉でいいのかどうかが分からなかったのだ。

しかしカミングアウトしたノンケの自分に対しても、ゲイバーの住人は優しかった。
「やだー!なんか違うなって思ってたんだけど、最近はこういう感じのゲイも居るから、ま、そういうタイプなのかなって疑わなかったわ。どう?こっちの世界こない?」などと言いながら、付かず離れず構ってくれる。

たいへん居心地がいい。いつしか違和感は消え去っていた。

「やはり、ゲイバーに来てみて良かった」と心から思った。

結局、自分が酒に弱いこともあり、2軒のゲイバーを訪問しただけで今回のゲイバー詣は終了となった。

 

数日後、予約してあった行きつけの理髪店Gstを訪ねた。
ここへ通い出してからかれこれ7~8年くらいになるだろうか。
ここもゲイバー同様に、とても居心地がいい場所だ。

当ブログでもぜひ紹介したいところだが、お店から許可を得ていないので残念だがやめておく。だいたいゲイバーと散髪を絡めた時点で、すでに出入り禁止ギリギリのラインを越えかかっているかもしれない。

さて、数日経ってもなおゲイバーの余韻が冷めやらぬ中、Gstのカット台に着いたとき、ふと「ゲイは短髪好きが多い」ことを思い出した。
このときの自分はけっして長髪ではないが、いい具合にむさくるしい長さの髪をたくわえていた。何年、この髪型で過ごしてきただろう。

「今日は、五郎丸みたいにしようかな。」

自分でも思ってもいなかった言葉を、自然と口にしていた。
そう、五郎丸選手はゲイに大人気だ。自分はゲイではないが、ゲイの方々に気に入られたい。そんな想いが知らず知らずのうちに芽生えていた。

この理髪店Gstでは、これまで一度も冒険をしたことがなかった。
そんな俺からの唐突な五郎丸リクエストに、店主が色めき立っている。いつもと違う、これまでに見たことのない気迫がビシビシと伝わってくる。

「たかが五郎丸カットにするだけなのに、この気迫は何だ?なぜ、そこまで気合いが入る?
なぜだ?

「ゲイだからさ。」

とは、残念ながら言われなかったが、
プロとして、普段と違う髪型をリクエストされた時というのは、まさに腕の見せどころなのだろう。髪型を変えるとき、それを注文した客は相当に「イメチェンした自分像」に期待をしているはずであり、その期待を裏切ってはならないのだから気合いが入るのも当然というものか。

通常比150%くらいの時間をかけて、俺の五郎丸カットは完成した。顔は五郎丸とは全く似ていないが、髪型は確かに五郎丸だ。素晴らしい。
外に出ると真冬の風が、鎧を失った俺の頭皮を容赦なく刺してきたが、俺の昂ぶる感情がすべてを跳ね返していた。

 

翌日、久しぶりにコンタクトレンズを新調した。
ゲイバーではやたらと「ちょっと眼鏡外してみて!」というリクエストを受けたのだが、どうやらゲイの方々は眼鏡が好きではないらしい。ならば、自分のすべき事は只一つ、眼鏡を外すことのみ。

こうして短期間のうちに短髪と裸眼(コンタクトレンズ入り)という改造を施した結果、自分でも驚くほどのイメージチェンジを果たす事が出来た。

次の新宿二丁目ゲイバー詣の約束は、ちょうど前回から一週間後の水曜日であった。
イメージチェンジを施した自分がどう受け止められるのか、想像しただけで胸が高鳴ったのだが、結果としては諸々の事情により約束は流れてしまった。

そして、友人は日本での仕事を終えて、アメリカ西海岸へ戻っていった。

 

今、五郎丸というよりは、少し伸びたことで「ウニ」のようになってしまった髪型がここにある。五郎丸を保ち続けるのは、なかなか想像以上に難しい。
次の友人訪日予定は、夏頃と案外早い。それまでは他の髪型にして、夏になったらまた五郎丸にしよう、と今は考えている。

 

我が千葉県には、釣師海岸とかいう場所があり、今度はそこへ連れて行ってくれるらしい。
ゲイの方々はマッチョ好きだ。
俺はもう、次にすべき事は何か、ちゃんと分かっている。

以上

 

この駄作を最後まで読んでくれた人、本当にありがとう。
あなた、ヒマな人だね。

 

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